かかりつけ薬剤師指導料の同意書に設定されている「薬学的観点から必要と判断した理由」について、何を書けば良いか迷う薬剤師さんも多いのではないかと思います。
もちろん、かかりつけ薬剤師を提案するくらいなので何かしらの理由があるとは思いますが、とはいえ実際何を書くのが正解なのか。
今回は「薬学的観点から必要と判断した理由」の内容についての考察と、実際の記載例を挙げていきます。
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かかりつけ薬剤師の「薬学的観点から必要と判断した理由」とは?
そもそもどっかに「薬学的観点から必要と判断した理由」の説明はあるのでしょうか。
様式の引用は令和2年3月5日保医発0305第1号の「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」の「様式(調剤)」が大元となっています。
とくにここには説明書きなし。
では通知の「別添3 調剤点数表」の方は?
こちらも特に詳しい記載はありませんでした。
では、さらに大元の令和2年厚生労働省告示第57号の「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(告示) 」の「別表第3 (調剤点数表)」
こっちも特に記載なし。
ここはひとつ、薬剤師としてちゃんと考えて記載するのが一番ですね。
かかりつけ薬剤師の薬学的観点から必要と判断した理由の例
というわけでいくつか例を考えてみました。
この例が正しいとは限らないので参考程度にみてください。
ちなみに患者さんに同意書のコピーを渡すケースもあるかと思うので、ですます調で作ってみました。
例1 複数のクリニック・病院に通っている患者さん
複数科の処方がある患者さんはわりと理由がはっきりしてますよね。
相互作用などを注意喚起する目的の旨で例を作ってみました。
複数のクリニック・病院から処方があり、薬の飲み合わせや重複などを管理するべく、かかりつけ薬剤師の制度を紹介されていただきました。
例2 不整脈の薬剤を使っている患者さん
ハイリスク薬などを使っている患者さんは、かかりつけ薬剤師指導が向いている例の一つですね。
とりあえず不整脈の例を作ってみました。
循環器の重要な薬剤を服用しており、長期的な副作用管理や服薬状況・残薬の状況などを管理させていただきたく、かかりつけ薬剤師の提案をいたしました。
例3 患者さん本人が希望する場合
けっこう珍しいかもですが、患者さん本人からかかりつけ薬剤師をお願いしたいっていうパターンもありますよね。
CMとかでやっているからかそれなりに認知度も上がっている気がします。
この場合はちょっと困りますよね。
「患者さんの希望により」が薬学的観点から必要と判断した理由に該当するのか。
まぁ大丈夫な気もしますが、一応体裁を整えた理由を作ってみました。
一定期間の継続が必要な薬剤の処方があり、今後も体調変化などに注意が必要な点、患者さんご本人もかかりつけの管理を希望されているため、かかりつけ薬剤師の同意をいただきました
かかりつけ薬剤師は理由も大事だけど実際の業務が一番
今回は、かかりつけ薬剤師の「薬学的観点から必要と判断した理由」について確認してみました。
理由の内容ももちろん重要ですが、一番は実際の患者さんに対して、どうかかりつけ薬剤師らしい業務をするかだと思います。
そして、当然、薬歴にもかかりつけ薬剤師としてやったことを確実に記録しておくことが重要でしょう。
おそらく個別指導などでは同意書の内容よりも日付の整合性などが重要視されると思われます。そして薬歴の記録もしっかり確認されるでしょう。
個人的に「薬学的観点から必要と判断した理由」は10行も20行も書くような内容ではなく、最低限の整合性が取れてれば良いと思います。
それよりも実際の業務や薬歴の内容を充実させて、患者さんからかかりつけ薬剤師を指名して良かったと思われるようにしたいですね。