規制・ルール

デパスでハイリスク薬加算を取れるケースと取れないケース|エチゾラム製剤の特定薬剤管理指導加算

メーさん
メーさん
デパス入力したらハイリスク加算とるかレセコンに聞かれたけど
薬シカ
薬シカ
あ、えーと、それはですね、ちょっと待ってください

ハイリスク薬加算(特定薬剤管理指導加算)で算定するか迷う代表的なものがデパス(エチゾラム)ですよね。

今回は取れるケースと取れないケースを整理してみました。

デパス(エチゾラム)でハイリスク薬加算を取れるケース

メーさん
メーさん
そもそもなんでハイリスク薬なの?
薬シカ
薬シカ
ズバリ「精神神経用剤」としても使われるからです。(今、調べた)

結論は「精神神経用剤」として使用される場合には算定できる、ですね。

薬効分類コード「117」として利用される場合、とも言えます。

算定可否の判断にはまず、「ハイリスク薬」の定義を確認しましょう。

薬剤師会の「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」がわかりやすいですね。

この分類の「⑧ 精神神経用剤(SSRI、SNRI、抗パーキンソン薬を含む)」にデパスやエチゾラム製剤が含まれます。

したがって、具体的な症状として抑うつや統合失調症に使用されるようなケースでは算定が可能と言えそうです。

デパス(エチゾラム)でハイリスク薬加算を取らない方が良いケース

メーさん
メーさん
加算しない方が良い場合はあるの?
薬シカ
薬シカ
う〜ん、睡眠導入剤としての場合などは微妙ですね。

続いてデパスやエチゾラム製剤でハイリスク薬加算をとらない方が良いと考えらるケースです。

ハイリスク薬に該当するか否かですが、薬効分類コード「117」の精神神経用剤は該当する一方、112の「催眠鎮静剤,抗不安剤」に該当する場合はハイリスク薬に含まれません。

マイスリー(ゾルピデム)とかソラナックス(アルプラゾラム)が「112」の代表例ですね。

したがって、「112」の薬剤と同様の目的でデパスやエチゾラムを使う場合は算定しないほうが無難と言えるでしょう。

ただし、私の場合は東京都ですが、もしかしたら「112」的な使い方かも、と思われる患者さんでも返戻がきたケースは今のところはありませんでした。

少なくとも東京都は、もしかしたらそこまで厳密に審査されてないのかもですが、循環器系の場合は間違ってハイリスク加算するとバンバン返戻が来る印象なので、今後は厳しくなるかもですね。

薬歴には何を記載するか?

デパスでハイリスク薬加算をする場合に、薬歴に何を記録するかも確認しておきましょう。

前述の「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」では、ハイリスク薬の共通する確認事項5項目として以下の5点が挙げられています。

1) 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
2) 服用患者のアドヒアランスの確認(飲み忘れ時の対応を含む)
3) 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育
4) 効果の確認(適正な用量、可能な場合の検査値のモニター)
5) 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認

さらに、「精神神経用剤」に対応した確認項目として、以下の内容も挙げられています。

1) 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
2) 服薬に対する意識が低い患者及び患者家族への教育とアドヒアランスの向上
3) 副作用モニタリング及び重篤な副作用発生時の対処方法の教育
(ア) 原疾患の症状と類似した副作用(錐体外路症状、パーキンソン症候群等)
(イ) 致死的副作用(悪性症候群、セロトニン症候群等)
(ウ) 非定型抗精神病薬による、血液疾患、内分泌疾患等
(エ) 転倒に関する注意喚起
4) 薬物の依存傾向を示す患者等に対して、治療開始時における適正な薬物療法に関する情報を提供
5) 一般用医薬品やサプリメント等を含め、併用薬及び食事との相互作用の確認
6) 自殺企図等による過量服薬の危険性のある患者の把握と服薬管理の徹底

割と確認するべきことは多いですね。

薬歴にはこれらを確認した結果を残しておきましょう。

また、ハイリスク薬加算1(特定薬剤管理指導加算1)に関する厚生労働省の通知(診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 別添3)の内容も確認しておきましょう。

特定薬剤管理指導加算1

(1) 特定薬剤管理指導加算1は、薬剤服用歴管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び指導等に加えて、患者又はその家族等に当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬品である旨を伝え、当該薬剤についてこれまでの指導内容等も踏まえ適切な指導を行った場合に算定する。なお、「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(日本薬剤師会)等を参照し、特に安全管理が必要な医薬品に関して薬学的管理及び指導等を行う上で必要な情報については事前に情報を収集することが望ましいが、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集については必ずしも必要とはしない。

(4) 対象となる医薬品に関して患者又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点について、薬剤服用歴の記録に記載すること。なお、従来と同一の処方内容にもかかわらず当該加算を継続して算定する場合には、特に指導が必要な内容を重点的に行い、その内容を薬剤服用歴の記録に記載すること。

上記のように薬歴には患者さんに確認した内容と指導の要点を記載するようにしましょう。

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薬シカ
薬局勤務の薬剤師です。 常にバズりを意識するも… 好きな作用機序はSGLT-2阻害